のんびりキングダム

キングダム単行本派

『キングダム』 馬陽の戦い 〜李牧の雁門軍 軍容〜

注意!『キングダム』15・16巻と『史記』の内容が含まれます。ネタバレが気になる方はご自身の判断にお任せいたします。

 

馬陽の戦いにおいて勝敗を分けたのは、李牧率いる4万の雁門兵でした。この雁門兵が王騎将軍率いる秦国軍の退路を断つことで、李牧が王騎を討てました。
本記事では南下してきた雁門兵について『キングダム』と『史記』からまとめてみようと思います。

 

 

まず漫画の描写から雁門兵についてまとめます。一人一人が馬に乗り、矛を持ち弓を携帯しています。騎馬は中原よりも足が速い馬です。匈奴の大軍を瞬殺できるほど指揮系統の整った兵です。さらに、中華10弓の魏加がいました。
次に『史記』から、匈奴の大軍を撃破した雁門兵についてまとめます。李牧が再度雁門に赴任するところから引用します。

李牧は着任し、前の定めと同じにした。匈奴は数年間なにも得られなかったが、いつまでも、かれはおくびょう者だと思っていた。辺境の士たちは毎日ほうびはもらうが、いくさがないから、一度戦いたいと望んだ。そのときはじめて戦車千三百台、乗馬一万三千匹を選び出し、百金のつわもの五万人、強弓の射手十万人をせいぞろえして、いくさのかけひきを調練し、自由に放牧させて、原野は人々でいっぱいになった。匈奴が少数で侵入してきたのにはわざと負け、数千人の捕虜を連れ去るのをそのまま見すごした。[匈奴の王]単于はそれを聞き、大挙してやって来た。李牧は色々と変化した陣をかまえ、左右の翼をひろげ、攻撃して大敗せしめ、匈奴十万余騎をうちとり、襜襤族をほろぼし、東胡族を撃破し、林胡族を降服させて、単于は逃走した。  
訳者 小川環樹、今鷹真、福島吉彦 『史記列伝 二』 岩波書店 2013年

雁門兵について『史記』から、個々の士気が高い戦士・射撃手、騎馬が多く存在し、兵と騎馬を鍛えている事がわかります。また、匈奴を中心とする遊牧民族を一網打尽にできるほどの機動力・強固な指揮系統が兵に備わっています。

 

 

上記から、馬陽の戦いに参戦した李牧率いる雁門軍の軍容は、兵士個人の戦闘力や精神のレベルが高く、全体として一体感があり、また、鍛え上げられた騎馬も存在するといった強固な精鋭軍と言えるでしょう。
この雁門兵に寡兵で囲まれたらひとたまりもありません。

 

以上、馬陽の戦いにおける李牧の雁門兵についてのまとめでした。
本記事を最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。本記事に関してコメントがあればお気軽に。